英文契約書を見ると、”will” “shall” “may”などの助動詞がよく使われていますが、これらがどのように使い分けられているか、ニュアンスがどのように違うのか、気になっていませんか?
契約書の記載ですから、自分が気が付かないところで、あなたに不利なニュアンスになっていたら大変です。助動詞がどのような意味・ニュアンスで使い分けられているのかは、重要なことといえます。
今回は、英文契約書における助動詞の使い分けについて、基本的なところをご紹介します。
1、権利は”may”
「~することができる」、「~する権利がある」という意味を表すときは、”may”が使われます。
- Either party may terminate this agreement.
- 当事者のいずれもこの契約を解除することができる。
”may”は、多くの場合、”be entitled to”や”have the right to”と置き換えることができます。
- Either party is entitled to terminate this agreement.
- Either party has the right to terminate this agreement.
2、義務は”shall”か”will”
「~しなければならない」という意味を表すときは、”shall”か”will”が使われます。
- Each party shall keep any confidential information of the other party.
- Each party will keep any confidential information of the other party.
- 各当事者は相手方の秘密情報を保持しなければならない。
なお、”shall”は、日本語で使用する契約表現では、「ものとする」がピッタリくることが少なくありません。
- The word “Specifications” shall mean the specifications described in Exhibit A.
- 「本仕様」という単語は、別紙Aに記載された仕様を意味するものとする。
- Seller shall sell the Products to Buyer.
- 売主は、買主に対し、本商品を販売するものとする。
3、”shall”と”will”はニュアンスが異なることがある
”shall”と”will”は、全く同じ意味で使えるかというと、そうでないと言われています。
特に、”shall”と”will”が同じ契約書の中で使い分けられているような場合に、”shall”ではなく”will”と記載されていることをもって、”will”は義務ではない、又は”will”は”shall”より義務の程度が弱いという評価がされることもあるようです。
このことを利用して、取引の相手方が負う義務については”shall”を、自分が負う義務については”will”を使って契約書の案を作成する人もいますので、注意が必要です。義務は全て”shall”で統一するというのが明確でしょう。
4、禁止は”shall not”
「~してはならない」という意味を表すときは、”shall not”が使われます。
- The Distributor shall not import products which may compete with the Products.
- 販売店は、本製品と競業する可能性がある商品を輸入してはならない。
以上を参考に、英文契約書における助動詞の使い分けの基本を押さえていただければ幸いです。