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【徹底解説】取締役会設置会社のメリット・デメリット

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あなたの会社は取締役会設置会社であるか分かりますか。

取締役会設置会社とするかどうかは、会社経営の根本であるにもかかわらず、よく理解できていない経営者が多いのが現実です。

我々は、取締役会設置会社であるにもかかわらず、取締役会決議を経ていないために危うい経験した経営者、逆に、取締役会決議をして、内紛を乗り越えた経営者などを見てきました。

取締役会設置会社の場合には、取締役会決議を経ずに利益相反取引を行っていた場合には、解任請求や損害賠償請求の理由などにされる可能性があります。逆に、株主間で対立が生じた場合、株主総会決議を経ずに、取締役会決議で募集株式の発行などを行い、持株比率を増やすことにより、これに対抗することもできます。

このように、取締役会設置会社においては、取締役会で重要な事項を決定できる一方、取締役決議をするための手続も法定されており、良い面もあれば、悪い面もあります。取締役会設置会社の基本を理解していないと、思わぬところで足下をすくわれかねません。

そで、本記事では、取締役会を設置する場合と設置しない場合の主な相違点、メリットとデメリットに言及したうえで、取締役会設置会社をを採用すべきかについて解説します。是非、参考にしてください。

なお、ここでは、中小企業の経営者を対象にしていますので、譲渡制限株式会社を念頭に置いています。

 

1 取締役会設置会社と取締役会設置会社ではない場合の相違点

1-1 取締役会設置会社とは

取締役会設置会社とは、文字通り取締役会を設置している会社のことをいいます。取締役会設置会社とするかどうかは、定款の定めによって決めることができます(326条2項)。なお、上場会社等は法律で強制されています。

取締役会設置会社の場合、取締役が3名以上であり(会社法331条5項)、監査役を置く必要があり(同法327条2項)、最低4名の人材が必要となります。

取締役会設置会社の場合、会社の機関としては、株主総会+取締役会+監査役ということになります。

これに対し、取締役会設置会社でない場合には、取締役会という機関はなく、株主総会+取締役が会社の機関となります。

取締役は1人でも可能であり、監査役を置くかどうかも自由です。

 

第331条 1~4 省略

5 取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない

第327条 

2 取締役会設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。

1-2 取締役の役割が異なる

-2-1 取締役会設置会社の場合

取締役は取締役会の構成員という位置づけになります。

取締役会は、業務執行の意思決定及び取締役の職務の執行を監督するという役割となります(362条2項)。

すなわち、会社法上、取締役会設置会社の取締役は、業務の意思決定をするだけであり、その意思決定に基づき、実際の業務を執行する権限まではないことになります。

実際の業務執行は、取締役会が選任した代表取締役が行うことになります(会社法362条3項)。

取締役会は代表取締役の選任・解任を通じて、代表取締役の業務執行を監督することになります。

会社法が想定している取締役会設置会社における取締役の役割と、締役=重要な業務執行を行うと考えられている中小企業の取締役のイメージとは違うので、注意が必要です。

 

会社法362条2項

取締役会は、次に掲げる職務を行う。

一 取締役会設置会社の業務執行の決定

二 取締役の職務の執行の監督

三 代表取締役の選定及び解職

1-2-2 取締役会設置会社ではない場合

取締役会設置会社ではない場合、取締役が1人の場合は、定款に特別の定めがない限り、その取締役が会社の業務の執行をします(会社法348条1項)。取締役が1人しかいないので、自分で意思決定をして業務を執行するという意味です。

取締役が2人以上の場合には、定款に別段の定めがない限り、業務執行は取締役の過半数をもって決定することになっています。(会社法348条2項)。「業務執行の決定」は、過半数で行うという意味です。

取締役会設置会社とは異なり、業務執行の意思決定において、取締役会を開催する必要はありません。

実際の業務の執行については、取締役が二人以上いる場合にも、各自が会社を代表することになります(349条1項、2項)。

ただし、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、代表取締役を定めた場合には、その取締役のみが代表取締役となります。

 

第349条取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。

3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。

4 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

1-3 取締役会設置会社においては、取締役会決議事項が法定されている

1-3-1 取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社の場合、取締役会が、定款や法令により株主総会の決議事項とされているもの以外については、取締役会設置会社が業務の意思決定をすることとされており、重要な事項については、必ず、取締役会の決議をしなければならないとされています(会社法362条等)。取締役会決議事項とされているもので、中小企業において関係があるものは以下のとおりです。

  • 重要な財産の処分・譲り受け
  • 多額の借財(借金)
  • 支配人その他の重要な使用人の選任・解任
  • 支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止
  • 社債の募集に関する重要事項(会社法362条4項)
  • 譲渡制限株式の譲渡承認(139条1項・140条5項)
  • 代表取締役の選任
  • 取締役の競業取引・利益相反取引の承認(365条1項)
  • 株主総会の招集決定(296条3項・298条4項・325条)

これらを行う場合、取締役会決議を経なければ無効となります。

我々が相談を受ける事案として多いのは、取締役の利益相反取引や株主総会決議に関するものです。

経営者間の関係が良好の場合には問題となりませんが、経営者の間で争い(内紛)が起こると、取締役会決議がなかったから無効であるなど主張がされることがよくあります。

利益相反取引においては、取締役会設置会社であるにもかかわらず、正式な手続を経て取締役会を開催していない事案をよく見かけます。

取締役同士の関係が良好である場合には問題となりませんが、関係が悪化した場合に、取締役会の承認がなかったとして、取締役の解任の理由にされたり、損害賠償請求をされたりしますので、注意が必要です。

なお、どのような取引が利益相反取引にあたるか、利益相反取引にあたるとして、取締役会での承認の方法については、以下の記事に記詳しく記載をしていますので、参考ににしてください。

また、株主総会を開催するには、取締役会において、株主総会の招集決定(296条3項・298条4項・325条)をしなければなりません。

取締役の関係が良好にある間は特に取締役会決議を行わなくても問題にはなりませんが、取締役間の関係が悪化し、社の内紛が起こり、取締役の解任などに発展した場合、株主総会における取締役の解任決議は、取締役会決議なく招集されたものなので、無効である主張されることがよくあります。経営者間で対立している場合には、後に覆えされないように、法定の手続に則り、決議をすることが重要です。

 

第362条 

4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。

一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
5 大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。
(取締役会設置会社の取締役の権限)

 

1-3-2 取締役会設置会社でない場合

取締役会設置会社ではない場合には、取締役会というものが存在しませんので、取締役の過半数で決定することができますが、以下の重要な事項については株主総会の決議事項となっています。

これらの行為については、株主総会決議の承認を経ないと無効となりますので注意が必要です。

  • 譲渡制限株式の譲渡承認(139条1項)
  • 取締役の競業・利益相反取引の承認(356条1項)
  • 代表取締役の選任・解任(349条3項)

1-4 株主総会の手続が異なる

1-4-1 取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社であり、株式譲渡制限がない会社(公開会社)の場合に、株主総会を開催するには、会日の2週間前に招集通知を書面で発送しなければなりません。

株式譲渡制限会社の場合(公開会社でない株式会社)には、これが1週間(招集通知発送から会日まで中7日置くという意味)に短縮されていますが(299条)、書面によって発送する必要があること、株主総会をすぐにに開催できないことは同様です。

 

第299条 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。

2 次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
一 前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合
二 株式会社が取締役会設置会社である場合
 

第300条 前条の規定にかかわらず、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第二百九十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。

ただし、株主全員の同意があれば、招集手続を経ることなく、株主総会を開催することは可能ですので、株主1人の場合には、いつでも開催することが可能となります(300条)

なお、書面により株主総会決議を成立させる方法については、以下の記事に詳しく書いていますので、参考にしてください。

また、株主が複数いた場合において、一部の株主が委任状により代理人を出席させたいう場合にも、全員出席総会として、株主総会が有効とするのが判例です。

ただし、代理人を出席した株主が会議で決議すべき事項を認識していたことが必要ですので、たとえば、招集通知を株主に発送せず、株主が知らない事項を決議した場合には、会議の目的たる事項を認識していたとはいえず、株主総会決議が無効となる可能性があるので、注意が必要です。

 

最高裁判所 昭和60年12月20日判決

株主総会を招集するためには招集権者による招集の手続を経ることが必要であるとしている趣旨は、全株主に対し、会議体としての機関である株主総会の開催と会議の目的たる事項を知らせることによつて、これに対する出席の機会を与えるとともにその議事及び議決に参加するための準備の機会を与えることを目的とするものであるから、招集権者による株主総会の招集の手続を欠く場合であつても、株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会において、株主総会の権限に属する事項につき決議をしたときには、右決議は有効に成立するものというべきであり(最高裁昭和四三年(オ)第八二六号同四六年六月二四日第一小法廷判決・民集二五巻四号五九六頁参照)、また、株主の作成にかかる委任状に基づいて選任された代理人が出席することにより株主全員が出席したこととなる右総会において決議がされたときには、右株主が会議の目的たる事項を了知して委任状を作成したものであり、かつ、当該決議が右会議の目的たる事項の範囲内のものである限り、右決議は、有効に成立するものと解すべきである。

1-4-2 取締役会設置会社ではない場合

株式譲渡制限会社でない場合には、取締役会設置会社と同様になります。

中小企業の会社に多い株式譲渡制限会社の場合には、書面によって、招集通知を発送する必要はなく、電話でも、口頭でも問題ありませんし、いつでも開催が可能です。

1-5 取締役会設置会社の場合、最低3か月に1回取締役会を開催する必要がある

取締役会設置会社の代表取締役や取締役会において業務執行をする取締役として選定された者(例えば、専務取締役や常務取締役などです)は、3か月に1回、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない(363条2項)とされています。

そのため、3か月に1回は、取締役会を開催する必要があります。これは、取締役会が取締役の業務を執行を監督する機能を有しているためです。

第363条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。

一 代表取締役
二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
 

1-6 取締役会を開催するための手続、決議方法が法律で定められている

1-6-1 招集手続

取締役会を開催する場合、各取締役が招集権を有します。しかし、定款または取締役会決議で特定の取締役を招集権者と定めることができるとされています(366条1項)。

これを受けて、定款において、取締役会の招集権限は代表取締役とされているのが多い状況です。

 

第366条 取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。

取締役会を招集するには、会日から1週間前に、各取締役に対し、招集通知を発送をしなければなりませんが、この期間は定款で短縮することができます。

定款において3日に短縮している会社が多いのではないかと思いますが、定款の記載例については、以下の記事に詳しく書いていますので参考にしてください。

なお、取締役全員の同意があれば、招集手続を経ずに開催をすることができます。

 

第三百六十八条 取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

1-6-2 議事

取締役会においては、代理出席は認められていません。取締役相互の意見交換が予定されているからです。

ただし、取締役が遠方にいる場合、テレビ会議による参加は出席として認められます。

これに対し、顔が見えない電話会議の場合には、取締役の全員が同意をしていれば、出席と認めて差し支えないされています。

通常、会社の経営をしていて議事の方法について問題になることはあまりないと思いますが、会社で内紛が生じた場合や不祥事が発生した場合などに、緊急で取締役会を開催しなければならない事態のときに議事の方法が問題になることがあります。

例えば、代表取締役を直ぐに解任する必要が出てきたが、取締役が海外出張中であり、定足数あるいは過半数の決議ができない場合などです。

このような場合には、テレビ会議を行うことにより取締役会を開催して、決議をすることが可能となります。

内紛で争いが生じている場合などに、電話会議で決議で行うことは、後に取締役会決議が無効であると主張される可能性があるので、やめておいた方が無難でしょう。

1-6-3 決議

取締役の過半数が出席して過半数の賛成により成立します(会社法369条1項)。

ここで、気をつけなければいけないのは、特別利害関係を有する取締役は決議に参加することはできないということです(同項2項)。

例えば、利益相反取引を行うことの承認を求める取締役は決議に参加することができなくなります。利益相反取引の詳しい解説については、取締役が利益相反取引を行う場合の留意点 完全ガイドを参考にしてください。

また、代表取締役の選任の場合には自分も決議に加わることができますが、解任の場合には、解任される取締役は決議に参加できないとしているのが判例です。

表取締役を解任する場合には、その取締役は決議に参加できないことを前提に、定足数を充たしているのか、過半数となるのかを計算のうえ、解任することが必要です。

 

第369条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。

2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。

 

昭和44年3月28日 最高裁判決

代表取締役の解任に関する取締役会の決議について、当該代表取締役は、商法二六〇条ノ二第二項により準用される同法二三九条五項にいう特別の利害関係を有する者にあたると解すべきである。けだし、代表取締役は、会社の業務を執行・主宰し、かつ会社を代表する権限を有するものであつて(商法二六一条三項・七八条)、会社の経営、支配に大きな権限と影響力を有し、したがつて、本人の意志に反してこれを代表取締役の地位から排除することの当否が論ぜられる場合においては、当該代表取締役に対し、一切の私心を去つて、会社に対して負担する忠実義務(商法二五四条三項・二五四条ノ二参照)に従い公正に議決権を行使することは必ずしも期待しがたく、かえつて、自己個人の利益を図つて行動することすらあり得るのである。それゆえ、かゝる忠実義務違反を予防し、取締役会の決議の公正を担保するため、個人として重大な利害関係を有する者として、当該取締役の議決権の行使を禁止するのが相当だからである。

1-6-4 議事録の作成

取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、出席した取締役・監査役が署名・記名押印しなければならないとされています(会社法369条3項)。

押印については、実印でしなければならないなどの決まりはありません。議事録は10年間、本店に備え置かなければならないとされています。

なお、取締役会の決議に参加した取締役であって、議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定するとされています(第5項)。

取締役会設置会社の場合、取締役には、代表取締役の業務執行を監督する役割があります。そのため、議に反対しなかった取締役も、代表取締役の職務執行の監督義務違反として、損害賠償請求の対象とされる可能性がありますので、注意が必要です。

 

369条

3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

5 取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

1-6-5 取締役会決議の省略

取締役会は現実の会議を開催し、いわゆる書面の持ち回り決議は認められていません。

しかし、取締役が取締役会の決議の目的である事項を提案をして、その提案につき取締役の全員が書面又は電磁的記録(メールなど)により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができるとされています(370条)

定款で定めをしておけば、わざわざ取締役会を開催する必要なく、メール等で取締役決議をすることも可能となります。

定款の記載例については、使い勝手のいい定款にカスタマイズするための7つの工夫を参考にしてください。

 

第370条 取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

2 メリット・デメリットから取締役会設置会社を考える

2-1 メリット・デメリット

通常の業務を行っていくにあたっては、取締役会設置会社の場合は代表取締役が、取締役会設置会社でない場合には、各取締役が業務を執行していきますので、特に影響が生じることはないと思います。

ただし、取締役会設置会社の方が取締役会が取締役を監督する役割を担っていることから、対外的な信用は得られるやすくなりますし、募集株式の発行・新株予約権の発行を取締役会決議ですることができますので、柔軟な資金調達が可能になるといえるでしょう。

その反面、取締役会設置会社は、取締役が3名以上、監査役が1名以上必要になり、報酬を支払うべき役員が増えるため、必然的に会社の負担も増大します。なお、中小企業においては、報酬も発生せず、名前だけの取締役の場合もよくありますが、この場合にも、代表取締役を監督しなかったとして、損害賠償リスクがありますので、注意が必要です。

また、取締役会設置会社においは、取締役会決議を行わなければならない事項や取締役会決議に向けての手続が法定されており、これを守らないと、後日無効と言われるリスクがあります。

以上をまとめると、以下の表のとおりになります。

     
  メリット デメリット
取締役会設置会社
  • 対外的な信用を得やすい
  • 募集株式の発行・新株予約権の発行などを取締役会で決定することができるため、臨機応変な資金調達が可能となる
  • 最低4名必要であり、役員報酬の負担が増える
  • 法定の重要事項については、取締役会決議を経なければならならず、取締役会決議がない場合には無効となる
  • 3か月に1回は取締役会を開催しなければならない
  • 取締役会議事録を作成する必要がある
  • 名前だけの取締役にも損害賠償リスクがある
取締役会設置会社でない会社
  • 最低1名で可能のため、役員報酬の負担も少ない
  • 取締役会決議なく意思決定を行い、各取締役が業務執行をすることが可能

 

  • 対外的な信用を得づらい
  • 募集株式の発行・新株予約権の発行が株主総会決議事項となっているため、株主が複数いる場合には、臨機応変な資金調達ができない場合が生じる
     

2-2 取締役会設置会社がベターの場合とは

それでは、具体的にどのような場合には取締役会を設置し、どのような場合は取締役会を廃止した方が良いのでしょうか。

以下、会社の状況に応じて具体的に説明をしていきます。

2-2-1  経営者が株式を100%保有している場合

経営者が株式を100%保有している場合には、会社の規模に応じて、取締役設置会社とするかどうかを検討すればよいでしょう。

例えば、これからあなたが会社を成立して、取締役1人で業務を行っていくというのであれば、わざわざ取締役設置会社にして、あなた以外に、3名を探して取締役と監査役にする必要はありません。株式を100%保有していれば、いつでも株主総会をすることができ、会社の意思決定に支障がないからです。

会社の事業に貢献した者を取締役待遇にして社員のモチベーションを上げたい、取締役設置会社として対外的な信用を得たいなど、必要に応じて取締役設置会社にするかどうかを検討すればよいでしょう。

逆に、事業の縮小に伴い、取締役3名は不要となったという場合もあるでしょう。このような場合には、定款を変更し、取締役会を廃止すれば足りますが、他の取締役の取り扱いについては注意が必要です。

すなわち、取締役設置会社を廃止したとしても、他の取締役が自動的に退任するわけではなく、取締役のままです。また、取締役会設置会社の取締役については、原則として、代表取締役を定めしない限り、各自が業務執行権(代表権)を有することになります。そこで、取締役会設置会社と同じく、代表取締役を選任することが必要になります。

したがって、取締役会設置会社を廃止して、取締役の数も減らす場合(例えば、3名から1名にする場合)には、他の取締役に辞任してもらう、辞任してもらえない場合には、任期満了まで待つなどの対応が必要です。

途中で、解任をすると、解任された取締役から損害賠償請求をされる可能性がありますので、注意をしましょう。

2-2-2 株式の所有が複数に分かれている場合

何名かで出資をして会社を設立している、外部等のベンチャーキャピタルから出資を受けているなど、株式の所有が複数に分かれている場合があります。

このような場合、取締役会設置会社にしておいた方がよいでしょう。

当初は良好な関係で会社経営を行っていても、株主対立するようになった場合には、株主の同意で招集手続を省略することが難しく、株主総会を開催しなければならなくなり、機動的な対応ができなくなる可能性があります。

例えば、募集株式の発行・新株予約権を発行する場合、取締役会設置会社でない場合には、株主総会決議で行わなければなりませんが、招集通知の発送から株主総会開催まで中7日空けなければならないため、最短で9日必要となり、臨機応変な資金調達等ができなくなります。

会社の規模が大きくなり、上場等を検討する場合には、対外的に「適切なガバナンスがなされている」の評価を獲得できる機関設計を検討していく必要があります。この点、上場申請をする際には、株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人という機関設計を採用するのが通例です。

なお、平成30年12月に公表された「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案」によれば、①監査役会を置き、株式の譲渡制限がない会社、②資本金が5億円以上または負債総額200億円以上の大会社、③有価証券報告書の提出義務がある、のいずれの条件も満たす場合には、社外取締役の設置が義務化される見通しです。上場を視野に入れた場合には、人材の確保が課題となってきますので、計画性をもった役員の人選を行っていく必要があるといえるでしょう。

 

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