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【民法改正】請負契約の報酬・担保責任

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令和2年4月1日をもって,およそ120年ぶりに民法が改正されました。

【よく分かる!改正後の民法】シリーズでは,改正後の民法を前提とした各契約のルールを分かりやすく解説します。

本稿では,請負契約について取り扱います。

なお、請負の性質を有する契約の典型である業務委託契約については、次の記事も併せてご参照ください。

参照:業務委託契約書を作成する時の弁護士からの5つのアドバイス

1 請負人の報酬請求権

 請負契約は、例えば家を建てる、PCを修理する、Webページを製作するなど、一定の仕事の完成を目的とする契約です。当事者間の特段の合意がない限り、請負契約における報酬の支払時期は、完成した仕事の目的物の引渡しと同時(目的物の引渡しを必要としない契約の場合には、仕事を完了したとき)とされています(民法633条)。

 もっとも、自然災害や請負人の倒産など、途中で仕事が完成できなくなるケースもあります。このような場合の報酬の発生については、次のとおり整理されています。

① 注文者に帰責事由があったために仕事が完成できない場合

 危険負担の規定によることになります。すなわち、債権者である注文者は、反対給付としての請負報酬支払義務の履行を拒むことができず、他方で、請負人は、自己の債務(残りの仕事)を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならないこととなります(536条2項)。

② 注文者にも請負人にも帰責自由がない場合及び仕事の完成前に請負契約が解除された場合

 請負人が既にした仕事の結果のうち,可分な部分の給付により注文者が利益を受けるとき(ex.建築工事の工程のうち地盤整備のみ完了していた場合など)は,その部分について仕事の完成とみなされ,請負人は、注文者が受ける利益の限度で報酬(費用を含む。)を請求することができます(634条)。

 

第536条(債務者の危険負担等)

1 (省略)

2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

第634条(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)

 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。

一   注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。

二   請負が仕事の完成前に解除されたとき。

 

2 請負人の担保責任

 基本的には、請負契約における担保責任にも、売買と同様の規律が及ぶこととされています(559条)。

  参照:売買契約における担保責任

 請負契約に固有の規律としては、次の2点に限られます。

① 完成した仕事の目的物が、契約の注文内容に適合しない場合、注文者は、請負人に対して、目的物の修補等による追完請求ができ(562条)、また、修補に代え又は修補とともに損害賠償請求ができることは、売買の場合と同じです(564条) 。

 ただし、契約不適合が注文者の供した材料の性質や注文者の指図によって生じた場合には、追完請求、報酬減額の請求、損害賠償請求及び契約の解除をすることはできません。もっとも、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときはこの限りではなく、追完請求等は制限されません(636条)。

② 注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができなくなります(637条1項)。もっとも、請負人が、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(引渡しを要しない場合にあっては、仕事が完了した時)において契約に適合しないことを知り、または重大な過失により知らなかった場合は、この限りではありません(637条2項)。

 

 
第562条(買主の追完請求権)
1 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

 

第564条(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)

 前2条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。

第636条(請負人の担保責任の制限)

   請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

第637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

1 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

2   前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

 

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