労務

社員のSNSへの書込みによるトラブルを防ぐための3つの対策

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 近時、ツイッターやフェイスブックなどへの従業員の不適切な書き込みによるトラブルにより、会社が信用毀損等の被害を受ける事案が相次いでいます。

 一度、書込みがされると、信用を回復するまでに時間がかかり、会社に大きな損害をもたらすことになるため、対策が必要です。

 しかし、SNSを利用した書込みの場合、社外・勤務時間外において、従業員の私物である携帯電話・スマートフォン等を用いて行われため、会社が直接管理をすることができません。そこで、どのように対策を取ればよいのか、わからない経営者も多いのではないでしょうか。

 対策のポイントしては、結論として会社が直接管理できない以上、社員の意識を高めるしかありません。

 そこで、社員の意識を高め、不要な書込み等がなされないための3つポイントを紹介します。

 また、誓約書、ガイドラインのひな形を準備しましたので参考にしてください。

 なお、会社の信用を毀損している書込み等を削除する方法については、以下の記事で詳しく記載をしているので、参考にしてみてください。

 

 

1 誓約書等を作成する

 SNS利用について制限を設ける内容の誓約書を社員に作成させる、あるいは個別契約書を従業員と取り交わすという方法があげられます。

「利用の制限」といっても、SNSの利用そのものを一般的に制限することは、従業員への過剰な干渉となり許されませんので、「会社の信用等を毀損する内容の書き込みは行わない」といったものに留まらざるを得ません。

 法的拘束力という意味ではたしかに脆弱ですが、誓約書等を作成することで社員の自覚を促し、不用意な書き込み等の抑止を図るという効果があります。

 誓約書のサンプルを作成しましたので、参考にしてください。

誓約書サンプル

2 SNSガイドラインの作成

 SNSの利用方法等について、社員向けのガイドラインを作成することも対応策のひとつです。

 ガイドラインに記載する内容は一般的には以下のとおりです。

  • SNSの定義
  • SNSの特徴の注意喚起
  • 自身の安易な書き込みが企業の信用を失墜しあるいは企業秘密を漏洩することになること
  • どのような書き込みに注意すべきか
  • 問題が発覚した場合どのような対応を取るべきか
 

 

上記を盛り込んだガイドラインのひな形を準備しましたので、参考にしてください。

ソーシャルメディアガイドラインひな形

ガイドラインのひな形では、社員が会社のアカウントを利用して発信する場合(第2条)と個人のアカウントを利用して発信する場合(第3条)に分けています。

会社のアカウントを利用する場合、業務に関連する発信になりますので、発信内容について、会社の方で制限をすることができます(第2条3項)。

これに対し、社員が個人のアカウントを使用して発信する場合、業務とは関係なく私的に発信するものとなりますから、これに対し、発信内容の制限をかけることは、社員の表現の自由の過度な制約になります。そのため、第3条では、発信する内容の制限をすることはできず、あくまで注意喚起を促すという条項になっています。

また、ソーシャルメディアガイドラインを公表している会社もあります。

代表的な例を挙げておきますので、参考してみてください。

コカ・コーラソーシャルメディアガイドライン

IBMソーシャル・コンピューティング・ガイドライン

3 社員教育の徹底

誓約書、ガイドライン等の作成だけでは、その効果は限定的であるため、ガイドラインの内容をふまえて、社員教育を十分に行うことが必要です。

社員教育において、心がけるべきポイントは、3つです。

  • Ⅰ SNSの仕組みを理解させること
  • Ⅱ 具体的事例に沿って説明すること
  • Ⅲ 従業員自身の被る不利益を具体的に説明すること

 

Ⅰ SNSの仕組みを理解させること

 SNSのユーザーであっても、その仕組みを十分理解している者は多くありません。

 ツイッターにおけるアカウントの「公式」「非公式」の設定や、情報の公開先を限定したつもりでもそれが無限定に拡散する可能性があること(例えば、仮にフォロアーがごく限られたメンバーだけだとしても、その中の一人がリツィートし、さらにそのフォロアーがリツィートするといった場合、途中に多数のフォロアーを持つものがいれば、瞬く間に何万人がその情報に触れることになってしまうこと)等について、理解させることが重要です。

Ⅱ 具体的事例に沿って説明すること

 抽象的な注意喚起だけでは印象に残りにくいものですが、実際に起こった事案を例に挙げ、これに沿って、軽率な行為がいかに大きな問題となりうるのかについて具体的に説明をすれば、従業員も身近な問題として理解しやすくなります。

 たとえば、最近、ニュースになった事例を紹介し、どのような結果になったかを説明するだけでも、十分な注意喚起となります。

Ⅲ 従業員自身の被る不利益を具体的に説明すること

 社員教育にあたっては「会社が損害を被るからこのような行為はやめてほしい」ではなく、このような行為をするとあなた自身が極めて大きな不利益を受ける、という点を協調し、会社の利害云々ではなく自身に直結する問題として理解させることが重要です。

不利益については、以下の説明をすると、社員の意識を高めることができます。

  • 会社から懲戒処分を受ける
  • 会社がが被った損害について賠償請求を受ける。
  • 過去の投稿履歴等を通じて書き込みの当事者が特定され、ネット上で激しい個人攻撃を受ける
  • 住所・勤務先等の個人情報が明るみにされる。
  • 場合によっては、家族・知人らも特定され、その情報が晒される。

 

まとめ 

 社員のSNSを通じての不用意な書込みから会社を守るためには、社員の意識を高めるしかありません。

 不用意な書込みをすることにより、どのような影響をもたらすことになるかを十分に教育していくことが必要です。

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